SSブログ

ブラジルの空 39話 

 最初から読むクリック  ブラジルの空

自分が好きなこと、将来やりたいこと、とてもみんな悩むと思うんです。僕もさんざん悩みました。でも、やっと見つけられたんです。今日、僕の話を聞いてみて、なにか自分のやりたい事に繋がる手掛かりを、見つけてくれたらいいなと思い、話をさせてもらいます。
 僕は、今、二十二歳になり、十八歳の頃から定時制の高校に通い始めました。中学を卒業し、普通に高校に進学しましたが、何をしに学校に行ってるのか分からず、すぐに辞めてしまいました。つまらない人生だな。やりたい事もないし。いつもこんな事を考えていました。自分でもどうしようもないくらい、情けなくて、でもこんな僕にも将来について考えさせられる出来事がありました。
学校で昔の自分を見たんです。授業に出ないで帰ってしまう子、先生と口喧嘩してる子、あー俺もこうだったな。この子達の気持ち、言いたい事すごくわかる。でも、もったいないなって思ったんです。自分も同じ事をしてきているのに、そこにいる昔の自分に、もったいないなーって。この出来事が、自分自身を見つめ直すきっかけとなりました。それから、自分のやりたい事を真剣に考えていくうちに、色々なことが楽しくなってきたんです。学校の勉強でもそうだし、全てにおいて、誰にも負けたくないなと思うようになり、今やっている事すべてが、将来必ず自分の役に立つと信じられるようになりました。一日一日生きている限り、決して無駄にしてはいけないんだ。そうだと思いませんか。
 僕の今やりたい仕事は、野生動物の保護活動です。しかもそれを、ブラジルでやりたいと考えています。僕は昔から動物が好きで、以前ペットショップで働いたのですが、そこでペットとして輸入されてくる動物達を見て、愕然としました。小さな箱に詰められ送られてきて、あまりの暑さで死んでしまう動物たち。病気に感染しているという事で、隔離され、店裏の奥にいなければいけない動物たち。ペットショップの店頭に出されている動物たちは、本当に何割かの動物だけなんです。それで僕は、動物保護に関心を持ち始めました。 
何か僕にでも出来ることはないか。いろいろな動物保護団体から、情報などを集めていくと、世界にはさらに多くの動物問題があり、多くの動物たちが危機的な状況に直面している現状も知りました。僕は動物保護の最前線に立ち、多くの人々にこの事を理解してもらい、行動してもらいたいと思っています。 
そこで、明確にしておかねばいけないと思った事が、動物保護の数ある方向性の中で、自分がどの道に進んでいくかという問題。自分にとって、一番の鍵となったのは思う存分好きな場所で仕事が出来ること。自分にとって好きな場所というのが、ブラジルなんです。アマゾンの熱帯のジャングルには、他では見られない、魅力溢れる動物たちがたくさんいます。ピンク色をしている川イルカ、世界最大のネズミ、カピバラなど、多種多様な動物たちが生息しています。そこで暮らしながら保全活動を進めてゆくことが、僕のやりたいことなんです。もう後悔なんかしたくない。そのために、ポルトガル語も勉強しました。動物保護団体の署名活動や募金活動にも協力することができ、そこからまた学ぶこともありました。
 多くの人に支えられ、今年の7月から9月にかけて、ブラジルに行くチャンスができました。ブラジルという国に行ってみて、まだまだ決して裕福とはいえない人たちが、数多く暮らしていることに、僕はまず驚かされました。人間が生きるために動物を捕獲し、またそれを売り、食べ、生活していかなければならないのが、ブラジル社会の今の現実です。アマゾンは動物の宝庫として知られていますが、乱獲のせいで、ピラニアやナマケモノやピューマやアナコンダなどといった、よく知られている動物たちさえも、今では激減しています。
 そのような現実を知り、ブラジルでは、自分を見つめ直すきっかけとなった出来事がありました。ある時、ブラジルの人にこう言われたのです。「なんでお前は動物の保護をしたいんだ、その前にここに住む人間の保護のほうが先じゃないのか?」ブラジルにはそれくらい困っている人々が大勢いるのです。その時、僕は何も言えませんでした。 
 動物保全というものは、そこに住む人たちがちゃんと暮らしていける環境があり、またそこから、現地の人と共に協力して活動を進めていかなければ解決できない問題だということも、実感できました。ブラジルに行きこのような考えも、持つことが出来ました。ブラジルでは、学校に行きたくても、お金がなくていけない。やりたいことがあっても仕事がない。このような現実を目の辺りにしてみると、日本はなんてチャンスが溢れている国なんだろう。どれだけ自分が、今まで贅沢してきたのかと感じます。
今回、ブラジルに行き、多くの出会いや別れを繰り返し、人間という動物の素晴らしさや魅力もさらに知ることが出来、実り多き旅となり、そしてブラジルで仕事がしたいと、さらに強く考えるようになりました。あんなどうしようもなかった僕でも、今、やりたいことが溢れているし、毎日がとても楽しい。やりたいことが見つからず、悩むことは当たり前の事、でも、まわりには多くのチャンスがあり、それを手にする力は必ず誰にでもあります。
 日本の反対側にある国ブラジル、僕は大好きです。笑顔が溢れている国ブラジル。本当にそんなブラジルに一生お世話になりたいと思います。今、ブラジルでがんばっているみんなにもこの思いが伝わるくらいの気持ちで、発表することができたよ。みんな、ありがとう。また、もっともっと成長して会いに行くからね、必ずみんなに。ブラジルの空に。

                          ブラジルの空  完

     
 


nice!(4)  コメント(7)  トラックバック(0) 

nice! 4

コメント 7

実散

HNだと、きっと誰だか解からないだろうけど。
この記事に書き込んでいるから、解かってもらえると信じて。

懐かしい作文に、少しだけパソコンの前で笑ってしまいました。
お久しぶり、それと卒業おめでとう。

これからはどうするのかな?
私は四年になりました、最後の一年、進路を決めるまで突っ走ろうと思います。

今年もこの作文を貰った場所にはいくつもり。
何が言いたいのか、語りたいのか今からゆっくり考えるつもり。
by 実散 (2005-04-01 02:15) 

tkfm

すごいです。
ほんと素晴らしいです!えらいというかなんというか、とにかく感動しました!

そして、こういう立派な方とめぐり合うことができる「ブログ」という存在にも感謝です。

かみらさんのようなブログこそが、nice!ユーザーとしてトップページに載るべきだと思いますが、それはおいといて、これからも応援したいと思います!!
by tkfm (2005-04-17 14:06) 

きんすけ

いっきに読ませてもらいました。
いい旅をしたんですね。
夢が実現するよう祈ってます。
がんばって!
by きんすけ (2005-04-19 23:21) 

inchiki-chemist

インチキ化学者と申します。弊blogにコメント下さりましたので、
覗いてみまして、一気に「ブラジルの空」を読ませて頂きました。
大変良かったです。ブラジルで感じたことが非常に良く
伝わってきました。

私も、来週からブラジルに行きますが、かみらさんの旅とは
全く異なり、国際学会参加と会社の支社での調査と言う、
仕事の旅になります。
でも、このblogを出発前に見ることができて良かったと
思っております。
by inchiki-chemist (2005-05-06 21:49) 

hitomi

まっすぐな目標ステキですね。うらやましいと感じてしまいます。ブラジルで、世界で数あるストリートチルドレンの問題の中私には方向性を絞ることがまだ出来ません・・・。早く明確にして仕事に結びつけるまでになりたいです。やりたいことに向かっている姿って、自分も気持ちいいだろうし、なにより、周りに勇気をくれますよ!あたしもあきらめないで、やろーッて気がモリモリもらえちゃいました!感謝です。心から応援しています☆
by hitomi (2005-05-27 08:19) 

りか

はじめまして☆
いろいろ検索していたら、このページにたどりつきました。

私は、今年の8月に仕事の休みを利用して、はじめてブラジルに旅行に行きました。
かみらさんの旅とはちがって、ほんとによくある観光旅行だったし、短期間だったのですが、それでも、ブラジルの魅力に一瞬にして取り付かれてしまいました。
私は、北東部のマラニョン州に行きました。
豊かな自然を目にし、自然を愛し自然と共に生きる人々に出会い、ブラジルの人の温かさをめいっぱい感じてきました。
ブラジルはわたしの一番好きな国になりました。
旅先での出会いって、心の中の財産ですね。

このブログ、ほんとに素敵です。
写真も素敵だし、ブラジルの空気が伝わってきます。

最後の「ブラジルの空」、感動しました。
見知らぬ私ですが、応援しています。 がんばってくださいね☆
by りか (2005-11-26 14:00) 

ユート

かみらさん、こんなにすばらしい夢をもっている君は幸せだ。 あまりにも夢のない人生をさまよっている人が日本には多い。そしてなにをしたらいいか判らない若者ばかり目につく中で、君の夢を応援したい。 よし、弟子にしてあげよう。(勝手に)  私の弟子になる条件は人生に夢をもつことだから。
私と一緒に南米にむけて羽ばたこう。
http://www.geocities.com/genitolat/
by ユート (2006-01-22 03:25) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。